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2016.11.06

上を向いて歩こう

52歳の誕生日を迎えることができました。Facebookでは、200人以上の方々からお祝いのメッセージをいただきました。本当にありがとうございます。

二度目の市議選落選から一年半あまり、この一年は若山経営での参謀としての仕事で生計を立て、5年目となる昴町会長として町会の運営に携わり、息子の高校には再びPTA会長としてかかわっています。
一方、これまでは活動の大きな部分を占めていた震災支援は、東日本大震災から5年経ったところで開催したイベント「津軽衆の日」を節目として、それ以後はパーソナルな形で月に一度は野田村を訪問するのを細々と続けていますし、4月に起きた熊本地震には桜まつりにあわせて募金を募って熊本市の大西市長に送ることができました。大まかにまとめると、変わったようで変わらない日々を過ごしてきた一年でした。
そんな中で、私が一番力を入れてきたことは読書でした。
読書の記録もつけていて、当初はブクログ、現在は読書メーターというサービスを使っていますが、この一年でいえば200冊近い本と出会い、知らなかったことにふれたり、知ったつもりのことで新たな知見を得たり、私の知識のフィールドは大きく拡がり続けています。とりわけ、直近に読了した一冊が心に残るものでしたので、紹介しながら今の自分の思いとあわせて披瀝したいと思います。

その一冊とは、岡田芳郎さんの『世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか 』(講談社文庫)でして、内容としては戦後の山形県酒田市の文化に多大な貢献をもたらした佐藤久一さんという方の評伝です。
久一さんは、銘酒「初孫」で知られる酒田の名家・金久の家に長男として生まれ、若くして映画館グリーン・ハウスの経営に携わり、その後レストラン欅やル・ポットフーで日本一のフランス料理を提供してきた方で、1997年67歳で亡くなるまで濃い人生を歩みました。
映画館では淀川長治・荻昌弘という高名な方々から絶賛され、レストランでは開高健・山口瞳そして土門拳という著名人から酒田の人々にまで愛されたほどの事業家であった久一さんですが、次から次へと生み出されるアイデアを形にして名声を得てきたのが、1976年の酒田大火でグリーン・ハウスを焼失すると、その後はレストランで主力であったスタッフを次々と失い、1993年で退陣することになります。
亡くなられてから来年2017年で20年となるわけですが、営々と営業を続けているル・ポットフーですら久一さんの面影を偲ぶ場ではなくなり、酒田の街からは忘れ去られた存在というより、存在そのものが消えてしまっているかのようです。
本の最初でグリーン・ハウス焼失の場面から描かれていたとおり、酒田大火が久一さんの転機となったのは間違いありませんが、その46歳という年齢は私にとっても市議4年目で翌年には落選の憂き目にあい施設の経営からも放逐された時期と符合するだけに、この不可思議なシンクロに自らの半生と重ねずには読まずにいられませんでした。

それから6年、私の人生は沈んだままの位置にあると皆さんからは見えていると思いますが、私自身は苦しいながらも人生の希望を捨てることなく、上を向いて歩いているつもりです。
今年は永六輔さんが亡くなられて、九ちゃんも八大さんも誰もいなくなってしまいましたが、それでも私たち日本人の心に名曲「上を向いて歩こう」の悲しくても明るい歌詞と希望を持たせてくれるメロディーが消えることは決してないと思います。
酒田から久一さんが忘れられていることは残念なことですが、私はその分まで弘前ひいては津軽に爪痕を残していけるよう、生きていくつもりです。

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