« シン・ゴジラと庵野秀明、そしてモスラ | トップページ | 59回目の地区体育祭を憂う »

2016.08.24

【時評】性犯罪被害を考える

6月から犯罪被害者支援活動員の養成研修を受けていますが、先週は犯罪そのものではなく二次被害について学ぶという内容で、その中で性犯罪被害に遭われた経験を持つ小林美佳さんがビデオに登場していました。
小林さんは、ビデオの中で事件そのものより、その後の家族や友人の心ない反応によって二次被害が続いたことを話していて、それが解消できたのはある友人がストレートに思いをぶつけてくれたことで「理解」をしてくれたことが大きかったと話していましたが、どうしても部分的にしか伝わなないことがあると思い、思い立って最初の著作である『性犯罪被害にあうということ』を読了しました。
そこには、事件当日の忌まわしい断片的な記憶からはじまり、警察から病院へと回される中での最初の二次被害、その後の家族や友人たちからの思いもよらない二次被害に苦しむばかりでなく想定外の自責の念、元彼への感情をぶつけての別れから夫との結婚にまつわる性への忌避感、それから性犯罪被害を公表して家族関係が変わってきたことなど、まさに赤裸々に綴られています。
特に、事件後にレイプという語や痴漢にあうだけで吐き気をもよおしたり、高校時代の暴行未遂事件と比べて強姦との違いを論じたりしている部分からは、被害者本人でなければわからない心情があふれていて、その上で今も見つからない犯人に対して許せないという気持ちであるのは、本当に理解できるものだと感じました。

これを読了したばかりのところに、人気俳優による強姦致傷事件が起きて世間を騒然とさせているだけに、何というタイミングと思ってしまいますが、どうも気になるのは母親の女優から溺愛されていたとか被害者のところに謝罪に向かった様子だなどと、どこか情状酌量の雰囲気を醸し出すような報道が続いていることです。
確かに、本人も明るいキャラクターで活躍していて将来が期待されていただけに、ほとぼりが冷めたら復帰させたいと考えている関係者もいるのでしょうが、小林さんの手記を読む限り、犯人がのうのうとTVに映るというのはフラッシュバックを引き起こす蓋然性が非常に高いというほかなく、その懸念がある以上、表舞台に出る仕事には就くべきではないと思います。
このことは、10年前の淫行暴行事件の犯人がTV復帰したことに対して、大手食品会社が反対の意思表示としてCMスポンサーを降りるという、当然で賢明な判断を下しましたが、そのような形でこの事件が社会としてのルールを徹底する契機になればと思います。

実際には、小林さんのように自らの性犯罪被害を公表できる人は少なく、多くの人が被害を受けたこと自体を隠したり、そのことで周りとの関係が崩れることのほうがよっぽど多いわけですし、その事情に配慮した上で被害者も、そして加害者も立ち直れる支援が必要なのだと思います。
ビデオの中で小林さんが話していたように、犯罪そのものは消えないが二次被害はなくすこと解消できることを肝に命じて、これからも被害者支援の学びに向き合いたいと思います。

« シン・ゴジラと庵野秀明、そしてモスラ | トップページ | 59回目の地区体育祭を憂う »

時評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/27994/64104493

この記事へのトラックバック一覧です: 【時評】性犯罪被害を考える:

« シン・ゴジラと庵野秀明、そしてモスラ | トップページ | 59回目の地区体育祭を憂う »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

Twitter

ブクログ

Amazon


  • サーチ:
    キーワード:
    Amazon.co.jp のロゴ

国際漫画展

無料ブログはココログ