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2016.07.11

【時評】現代の奥羽越列藩同盟を夢想する

昨日の参議院議員選挙は、自公与党の勝利そしておおさか維新の会などを加えた改憲勢力が発議を行える2/3を超す形に終わる、非常にまがまがしいものになりました。
実際の発議から国民投票まで持っていくだけでも、さまざまに同床異夢な部分が出てくるでしょうから、すぐさま国民に危機が迫ることはないにしても、真っ先に取り上げられるのが緊急事態条項ではないかというくらい、主権制限からの独裁強行になってもおかしくない現実が現前していることに、改めて気づくべきだと思います。
この改憲については、年頭から春先までは意欲を見せていたにもかかわらず、この選挙にあたってはアベノミクスの信を問うという経済政策のみに争点を隠した安倍政権のやり口には怒りを感じてしまいますし、改憲こそが最大の争点であるのを浮き彫りにできなかった民進党をはじめとする野党側の力不足にも責任の一端があると思います。
実際には、先日読んだ藤波匠『人口減が地方を強くする』でふれている、人口減少することで経済成長が鈍化していくのは必然であり、経済成長もせず人口が減っていくことを前提にした財政対策に転換すべきだという論には全面的に賛同を覚えますし、そこからしてもアベノミクスの継続では国民に不幸を招くだけだと思うだけに、今後の議論の前提として民進党は藤波さんをブレーンに招いて確固とした対案を出すべきだと思います。

ただ、唯一の救いだったのは、一人区すべてで統一候補を立てて約1/3の11人が与党候補に勝つことができ、とりわけ東北では5勝1敗さらには東北電力のエリアでいえば新潟県でも統一候補が勝利しているのからすれば6勝、そして福島と沖縄では現職大臣を落選させるまでの善戦を見せたことです。
わが青森県でも、全国最低の投票率からようやく脱出し、統一候補である田名部匡代さんが終盤に大票田の三市で逆転して自民党現職を破ることになったのは、まずは何よりの結果でした。
統一候補というだけでなく、農業地帯としてのTPPへの反発が大きかったと解説されていますが、5年前の東日本大震災からの復興がまだまだ進んでいないにもかかわらず、2020東京五輪や熊本地震に土木建設業の主力が移ってしまって忘れ去られていく雰囲気が、かつて「白河以北一山百文」と呼ばれた旧い怨念を呼び覚ましたからだと思います。
ちょうど戦後70年と今後の日本を考えるために、内田樹・白井聡両氏による対談を読んでいるところですが、その中で内田さんは陸軍から長州閥が消えた後に石原莞爾・板垣征四郎・真崎甚五郎などの東北出身の軍人が争いながらも軍と日本を戦争へと駆り立てていったことを、賊軍としてのルサンチマンが暴発したのだと論じていましたが、今東北は大震災であれほどの被災をしても捨てられてしまうという思いが爆発寸前のところまできているのです。
この賊軍というのは、明治維新の際に朝敵とされた会津・荘内両藩を救うのを大義名分に結盟された奥羽越列藩同盟をさすのですが、ちょうどそれが今回の選挙で以南の日本とは違う結果を見せた東北7県に映し鏡してしまうのは私だけでしょうか。

もう一方の沖縄の敗因は、いうまでもなく海兵隊移設問題を頂点とする米軍基地への反対ですが、その沖縄では米軍に出ていってもらうだけでなく負担を押しつけるばかりの内地に対する反発から、琉球としての独立を模索する動きが大きくなっていると仄聞しています。
欧州では、英国のEU離脱からはじまって、それであればとスコットランドなどの連合王国内からの独立の動きが再び高まっていると聞きますし、世界的にもより小さな民族単位での国家への動きがますます出てくるものと思います。
それからすれば、高齢化が全国に先がけて進んで定常化していく方向が見えていて、食糧自給率がほぼ自立になるほどの第一次産業ばかりでなく仙台周辺の大工場地帯も抱えている東北が独立を考えることも、あながち夢ではないと思うのです。
列藩同盟ばかりでなく、戦国時代には伊達政宗、その前には奥州藤原氏、そしてアテルイと、東北に覇を唱えた歴史は連綿と続いているのですから、本当の復興を果たすためにも、日本にとどまっていていいのか、東北の私たちは考えてみるべきですし、それが日本を戦慄せしめれば日本を変える第一歩になるはずです。

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コメント

多岐にわたるご賢察、さすが津軽の進取精神を拝察しています
足かけ28年の津軽参りですが、貴殿の客観的指摘のような状況があり、小生も眺めるように過去と現在と未来を俯瞰視しています。
当時は金沢市長で工藤企画部長でした。いまは葛西市長ですが、台湾関係でいろいろと交誼を持っています。

三上さんの熱情に同感します。全国津々浦々の無名で有力な方々の隠れた徳行は地位や名誉に恬淡な精神から導かれるようです。11/17に三沢基地で幹部講話があり、その後むつ市長、葛西市長、長尾市長との懇談をしますが、三上様とも応接機会があればと考えております。アドレスにてご連絡をいただければ幸甚です。

ちなみに拙章「まほろばの泉」「請孫文再来」にも津軽弘前がたくさん記されています

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