« 若山経営からのリスタート | トップページ | 市民が主人公の市政にするには »

2015.08.27

松陰室で床下村塾を知る

先日の叔母からの聞き取りで養生会とのご縁を知りましたので、以前から関心のあることでもありましたので、代表である小笠原豊さんにお願いして、お話をうかがうことになりました。
養生会は、その名のとおり市内のど真ん中・元長町にある養生幼稚園に本部があり、そこには幕末の吉田松陰北雄の際に地元の蘭学者・伊東梅軒と語らった松陰室があります。
思想家としての松陰を尊奉する私ですが、一昨年は縁あって萩の松下村塾や野山獄を訪ねる機会があり感激ひとしおだったものの、これまで地元の足跡をたどる機会がなかっただけに、これだけでもうれしいことだったのですが、小笠原さんのお話はそれにも増して琴線にふれるものばかりでした。
thumb_IMG_3495_1024-2015-08-28-10-00.jpg

六十次郎先生のことでは、満洲国から盟友・石原完爾が去った後も大同学院に残って建国の理想実現に尽力されていたのだそうですが、時宜をみては帰弘されたそうで、1944年4月の「松陰祭」の際には公会堂に集まった1000人を超える聴衆を前に反軍演説を行ったそうですが、あまりに理路整然とした内容に特高警察も「演説中止!」とすることができず、その演説後に特高だけを集めてさらに論じたという伝説を教えていただきました。
その際には処分を受けずに済んだものの、翌年に不惑のこの大人物にまで召集令状が突きつけられ、二等兵として従軍したところでソ連軍にとらわれて、それが11年にわたるシベリア抑留となってしまうのですが、その帰還の際には列車が矢立峠を越えて津軽に入ると情報を得た住民が沿線沿いに立ち並んで出迎え、弘前駅から自宅までの道は車が進めないほどだったそうです。
その抑留時代の記録を、ソ連軍に検閲募集されないように二重になっているセメント袋の内側に書き続け、それを帰還する人たちの水筒に丸めて持ち帰ってもらったのをまとめたのが『シベリヤより祖国への書』としてまとめられたのですが、当時仕えた叔母はその清書をしたそうです。
思えば、当時の旧制弘中で数年違いであり同時期に満洲国に暮らした六十次郎先生と祖父の間に交流がなかったはずはなく、それが叔母が仕えるご縁にもつながっているのだと思います。

その六十次郎先生が石原完爾とともに広めた東亜連盟ですが、今となって知る人も少ないものの当時は広く支持を集めていたようで、1945年7月には赤十字社青森支部が講演者として石原を招いて大演説会をするほどだったそうで、その先導役が六十次郎先生の後輩であり私にとっては母校の校長である鈴木忠雄先生というのも驚きですが、未来を見る超能力があったという石原が「この町がなくなってしまうとは残念だ」と月末の青森大空襲を予言したというエピソードまで残っているそうです。
石原というカリスマ的存在があって人は集まったものの上下関係ではなく「自治共同」を掲げる横のつながりだったために、戦後も組織化されることがなく東亜連盟は消えていったというのが後世の評価だと小笠原さんは話されていましたが、その一員であり戦後弘前の自治の基礎を作り上げた鳴海修先生は、そこで得た知識と経験を町会連合会や子ども会の立ち上げに生かされたということでしたので、その理想とするところを学び直すことが今の弘前市にも大事なことだと改めて思いました。

これ以外もたくさんのお話で1時間半も聴き入ってしまいましたが、最後に六十次郎先生はシベリアで書き残す作業を床下でされていたのだそうで、それを「床下(しょうか)村塾」と名づけていたのだそうです。
これは、まさに松陰室に起居されていたこともある六十次郎先生ならではのお話であり、その厳しい抑留生活をユーモアで乗り越えてこられた原動力がここから生まれたのだと感慨深い思いで松陰室を去りました。
まだまだ尽きない津軽と満洲国、そして我が家とのつながりを解き明かすために、これからもご縁をたどっていこうと思います。

« 若山経営からのリスタート | トップページ | 市民が主人公の市政にするには »

弘前市」カテゴリの記事

戦争と平和」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/27994/62170686

この記事へのトラックバック一覧です: 松陰室で床下村塾を知る:

« 若山経営からのリスタート | トップページ | 市民が主人公の市政にするには »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック

Twitter

ブクログ

Amazon


  • サーチ:
    キーワード:
    Amazon.co.jp のロゴ

国際漫画展

無料ブログはココログ