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2015.06.09

平成の人返し令は成就しない

「日本創生会議」という団体があります。リンクを開いていただければわかりますが、座長が元岩手県知事・増田寛也氏であることが何とかわかるだけで、どういう位置づけなのか、何をめざした団体なのか、誰がメンバーなのかも明記されない謎の団体です。
そうであるにもかかわらず、昨年は日本の人口減少と首都圏一極集中の未来を「消滅可能性都市」というショッキングなネーミングで打ち出して衝撃を与えたのに続き、今度は2025年には首都圏で介護施設が大幅に不足するので介護・医療に余力のある地方都市に移住を進めるべきと提言したそうです。
その移住先41都市の中には、弘前市・青森市も含まれているだけに他人ごとではありませんので、介護と政治にかかわってきた者として、この問題を論じておきたいと思います。

この提言にはさまざまな問題がありますが、一番認識が欠けているのは2000年の介護保険法施行後は、介護が必要な方は誰でもどこの施設でも選択できることになっているということです。
現実には、利用したい人数に対して施設数が不足しているために選択の自由とはなっていませんが、以前経営していた施設では当時としては珍しくホームページを開設していたのを親族の方が見つけ、首都圏の老人保健施設に独り身で入所されていた兄弟を生まれ故郷の施設に移したいという希望をメールで伝えてきたことからはじまって、2年後に介護タクシーに乗って入所してこられた例があるように、首都圏からの介護移住は不可能なことではありません。
この例が奇跡のように思われるのは、このようなアクションを取る方がないからで、首都圏に暮らす要介護な高齢者が増える一方だとしても、集団就職で地方から上京した団塊の世代の皆さんには今さら故郷に帰ろうという思いがないからだと思わざるを得ません。

これは憲法の保障する居住の自由からして当然の判断であるわけですし、私の実例にしても本人に判断能力が欠ける状態であったので親族の思いを受けとめて実現させたことでもありましたので、もし本人に確認できたとしたら何と答えたのかは知るよしもありません。
介護保険制度以前は、措置という強制力のある手続きで入所が決められていたのですが、それを切り替えてから15年もたってから移住させるという時代錯誤な提言であるところが何よりの問題ですし、手だてを打つとすれば本人が自分の意思で終の棲家をどこにするかを選択するような予防的な働きかけを健康面だけでなく生活面でも推進するといった方向性であるべきだと思います。

それでも、移住を提言せざるを得ないような現実や予測となるのは確かなことですし、これがきっかけとなって一極集中問題を何とかしていくきっかけになってほしいと思います。

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