世界文化遺産をめざす意義
今回の視察は、常任委員会の所管である市民生活にかかわるテーマでしたが、それ以上に気になったのは、高岡市・松本市ともに弘前市と似通った立場にありながら、観光という一番大きな部分で違っていることでした。
それは、二つの市が世界文化遺産登録をめざして取り組んでいるということです。
高岡市は、前田利長公を祀った国宝・瑞龍寺や墓所、さらには高岡城址公園などを中核にした計画だそうで、それを進める市民の会が結成されているようですが、登録されるかどうかより、それを通じて市民に歴史を大事にしたり、誇りを持ってもらうことにつながればという思いが根底にあるそうです。
瑞龍寺は利長公の命日の法要が行われた直後の見学だったせいか、お勤めを終えたばかりの住職がいつにもまして詳しいご案内をしてくださったそうですが、その中で「14歳の挑戦」という富山県下で行われている取り組みの一環で、中学生が回廊の障子を張り替えるのだそうです。
これこそ、世界文化遺産となること以上の意義あることだと思いました。
一方、松本市は国宝・松本城を中心に登録のための整備を進めているそうですが、すでに城内に公共施設が建てられていたり、堀の跡が道路になっていたりと、クリアすべきハードルがこちらも高いようです。
松本市の場合、お城ばかりでなく近代教育の記念碑である開智学校や旧制高校記念館、さらには市民芸術といった文化にあふれた街づくりが進められていて、これにも学ぶべきものがありました。
この二市に比べると、弘前市の場合は重要文化財は多いものの、国宝という核になるものを持っていないために、世界文化遺産をめざすのは無理があると思いますが、自らの持つ価値に誇りを持つような取り組みという面でもひけをとっていることこそ問題です。
文化財を、経済のための観光資源としてではなく、市民の心のよりどころとしていくことを重視していく方が、急がば回れの結果につながるのではないでしょうか。
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